2012年6月13日水曜日

中国人観光客がやってくる 地元では困惑と歓迎が交錯

産経新聞 6月9日(土)16時12分配信

【ビジネスの裏側】

 中国人観光客向けに、日本への複数回の入国が可能になる「数次ビザ発給」が開始され、6月末で丸1年を迎える。最初の訪日で沖縄への滞在が条件となっているため、沖縄を訪れる中国人は前年比8割増と急拡大。同ビザは3年間有効なため、関西や北海道などにも今後、中国人が押し寄せるとみられる。関西の百貨店、飲食店はどのような対応をすべきなのか。この1年間の沖縄の変化を分析すれば、効率的な中国人対策が見えてくる。

 「歓迎光臨」。大阪市内の心斎橋筋商店街では、中国語表記が目立つ。中国人観光客による訪日の主要目的が「買い物」だけに、百貨店から飲食店、服飾、ドラッグストアなど約160店が並ぶ同商店街は、関西を訪れる中国人でにぎわっている。

 大丸心斎橋店(大阪市中央区)は、店内に中国語通訳スタッフを3人配置しているほか、大型連休には割引サービスなども用意。今後見込まれる中国人観光客の増加に対して「受け入れ体制やサービス強化などで歓迎していきたい」(担当者)と意欲をみせる。

 「どこへ行っても必ずいますね」。那覇市内で地元の人に「中国人観光客を見かけますか?」とたずねると、大半の人はこう回答する。東日本大震災の影響をものともせず、昨年の沖縄の中国人観光客数は前年比87%増の約4万4500人と大幅に増加した。

 この恩恵を受けたのが航空便で、那覇空港と中国などを結ぶ路線の増便、新規就航が相次いだ。スーパーなど流通各社も活況を呈しており、「貸し切りバスで大勢の中国人が来店し、化粧品や食品を大量に購入していく」(イオン琉球)。

 沖縄では外資系の高級ホテルが相次ぎ開業しているが、中国人は宿泊施設にお金をかけず、築数十年の低価格ホテルを利用することが多いという。那覇市内のあるホテル関係者は「通常よりも安価な料金を求めてくる。もうけにはほとんどならない」とこぼす。

 マナーについて顔をしかめる声も多い。市中心部の観光スポット、国際通りの物産店店員は「大勢でやってきて、試食用のお菓子をいくつも食べていく。できれば、来てほしくない」と嫌そうな表情をみせる。

 とはいえ、観光客目標千万人を掲げながら、近年は600万人弱で推移する沖縄では、中国人観光客の取り込みは大きな課題だ。継続的に観光客を誘致するためには、何度も沖縄を訪れてくれる中国人リピーターの確保が重要となる。

 数次ビザは、最初の訪日での沖縄滞在を条件としているだけで、2度目以降は無条件。関西は人気テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」、家電の街・日本橋、さらには大阪・キタ、ミナミには百貨店が充実しており、中国人にも人気が高い。

 今後は沖縄のように、関西にも中国人観光客が急増する可能性は決して少なくない。数次ビザ効果で観光客が増えても、受け入れ態勢が整わずに、みすみす逃すことにならないよう対応が急がれる。同時に、関西は中国人観光客のデメリットも念頭に入れながら、収益につなげていくことが求められる。(阿部佐知子)

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「数次ビザ発給」について当初はどうなるのかと思っていた。
前年比8割増という数字からかなりの効果があったようだ。
確かに、今はどこを歩いていても英語ナレーションの他に、中国語ナレーション、時には韓国語ナレーションまで耳に飛び込んでくる。
観光地に行、ガイドに地図、商品カタログまでDTP等を利用するのか、多言語翻訳されている。
しかし、記事にあるように中国人観光客のマナーや、格安ツアーを催行するために宿泊、交通、観光各施設に無理を強いられていることもある。
健全な経済効果を生む結果になってほしい。

by MT